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カニの急速冷凍の種類とは

最近の食品冷凍技術の進歩は目覚しいものがあります。緩慢冷凍ではカニの細胞を壊すような大きな氷の結晶ができてしまいますが、最大氷結晶生成帯を短時間で抜けられるような高性能な業務用冷凍装置で急速冷凍をすれば、カニの細胞の中の氷の結晶が小さくなって細胞が壊されないので品質劣化は軽微になります。最近ではカニを獲った船の上でそのまま急速冷凍するか、あるいは港に隣接した工場で急速冷凍されていますから、カニの品質の劣化は最低限まで抑えられていると言ってよいでしょう。

急速冷凍技術には主に3つの方法があります。一つ目は-40℃以下の空気を冷凍庫内で強制対流させるなどの方法で冷凍対象物に冷気を吹き付けて急速冷凍する方法(エアブラスト冷凍)、二つ目は超低温の液体(例えば冷却した飽和食塩水など)に漬け込んで急速冷凍する方法(ブライン冷凍)、三つ目は液体窒素(温度は-196℃)または液化炭酸ガス(-76℃)を吹き付けて急速冷凍する方法(液化ガス冷凍)です。カニの冷凍に関してはエアブラスト凍結と、飽和食塩水を用いたブライン凍結が広く適用されておりますが、近年では-196℃の液体窒素を用いた液化ガス冷凍技術が適用されているケースもあるようです。

エアブラスト冷凍においては、カニは空気または窒素などの不活性ガスにしか晒されませんので、冷凍対象物であるカニの味に与える影響は少ないわけですがブライン冷凍よりも冷凍時間がやや長いためカニの味に与える影響が無いとは言えません。一方、飽和食塩水を用いたブライン凍結では、食塩を用いるわけですから「しょっぱくなる」という問題が起こることがあります。

ブライン冷凍に使用する液体をブラインといいます。コスト上や保守管理上の理由からカニの急速冷凍においては飽和食塩水が広く用いられています。飽和食塩水とは水に食塩を限界まで溶かしたものであり自分で作ることもできます。水は0℃で氷になるわけですが、食塩などの溶質を溶かした水はモル凝固点効果という現象により0℃でも凍りません。このため水に食塩を溶かして冷やしただけなのに-20℃の液体を作ることができるのです。冷やした食塩水にカニを一気に漬け込むことでカニが急速に冷凍されるというわけです。飽和食塩水を使うとしょっぱくなるわけだからエチルアルコールなどの無害かつ揮発性の高いブラインを用いることで味に対する影響を抑えることも考えられますが、コストや保守管理上の理由からカニ冷凍には適用されていないと考えられます。

冷凍たらばがに、冷凍ずわいがにの大半は輸入品です。ロシア産の冷凍かにはブライン冷凍品が多く、アメリカ産の冷凍かにはエアブラスト冷凍品が多いという話もありますが、必ずしもエアブラスト冷凍であるとは限りません。冷凍方法がエアブラストと明記されているものが選択できるのであれば、それを選んだほうが塩抜きの手間がかからない点では良いと思います。ただし、最も一般的な冷凍カニは飽和食塩水を用いたブライン冷凍品であり、しょっぱい場合であっても塩抜きをすることで十分美味しく頂くことができますので、過度な心配は必要ありません。

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以上をまとめますと、カニの専門業者が冷凍したカニは急速冷凍品であるため美味しいけれども、余ったカニをご家庭のふつうの冷凍庫で再冷凍すると、まずくなります。冷凍カニを買ったら食べる分だけ解凍しましょう!



急速冷凍したカニは美味しい

食品を冷凍保存する場合、凍結中に生じる氷が食品に与える影響が問題となります。凍結する速度によって食品の品質に大きな差が出ることが知られており、なるべく高速で凍結させることで食品に与えるダメージを抑えることができます。とくにカニのように水分含有量が多い食品の場合、凍結速度は重要な役割を果たします。

冷凍庫で水を冷やして氷を作るときのように、液体(水)から固体(氷)に移ることを相転位といい、相転位に要するエネルギーを潜熱といいます。水から氷に変わるときの潜熱は80kcal/kgであり、これは90℃のお湯を10℃に冷やすときに必要な熱量と同じで非常に大きいことが分かります。水から氷を作るためには、90℃のお湯を10℃の水にするのと同じ熱量を奪うくらい冷やす必要があるということです。

一般家庭の冷蔵庫付属の冷凍庫のような、能力の低い冷凍庫でカニを冷凍するケースを考えてみましょう。一般に、冷凍速度が遅い冷凍を緩慢冷凍といいます。カニの中の水分が凍結するために必要な潜熱分の冷却が必要になるため、冷凍庫内のカニの温度を-5℃以下にするために要する時間はどうしても長くなります。0℃~-5℃の温度帯を最大氷結晶生成帯と呼びますが、この温度帯における滞在時間が長い場合、カニ内部にできる氷の結晶が大きくなるためカニの細胞を破壊してしまうという問題があります。氷によりカニの細胞が壊れてしまうと、解凍時にカニの水分や旨み成分が流出してしまいますし(ドリップが出る、といいます)、カニ肉の弾力性が著しく損なわれてしまいます。つまり、まずいカニになってしまいます。急速冷凍と緩慢冷凍の冷凍時間と温度を模式的に示します。

急速冷凍と緩慢冷凍

カニ専門業者が使用している大型の急速冷凍装置で一気にカニを冷凍することで、最大氷結晶生成帯を短時間で通過させることができます。こうして冷凍されたカニは氷の結晶が小さくなるので、カニ肉の細胞がほとんど壊れず、美味しさが維持されます。カニの通販では、冷凍カニが多いので不安を感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、全然心配いりませんよ。