冷凍カニ

急速冷凍したカニは美味しい

2016/11/02

食品を冷凍保存する場合、凍結中に生じる氷が食品に与える影響が問題となります。凍結する速度によって食品の品質に大きな差が出ることが知られており、なるべく高速で凍結させることで食品に与えるダメージを抑えることができます。とくにカニのように水分含有量が多い食品の場合、凍結速度は重要な役割を果たします。

冷凍庫で水を冷やして氷を作るときのように、液体(水)から固体(氷)に移ることを相転位といい、相転位に要するエネルギーを潜熱といいます。水から氷に変わるときの潜熱は80kcal/kgであり、これは90℃のお湯を10℃に冷やすときに必要な熱量と同じで非常に大きいことが分かります。水から氷を作るためには、90℃のお湯を10℃の水にするのと同じ熱量を奪うくらい冷やす必要があるということです。

一般家庭の冷蔵庫付属の冷凍庫のような、能力の低い冷凍庫でカニを冷凍するケースを考えてみましょう。一般に、冷凍速度が遅い冷凍を緩慢冷凍といいます。カニの中の水分が凍結するために必要な潜熱分の冷却が必要になるため、冷凍庫内のカニの温度を-5℃以下にするために要する時間はどうしても長くなります。0℃~-5℃の温度帯を最大氷結晶生成帯と呼びますが、この温度帯における滞在時間が長い場合、カニ内部にできる氷の結晶が大きくなるためカニの細胞を破壊してしまうという問題があります。氷によりカニの細胞が壊れてしまうと、解凍時にカニの水分や旨み成分が流出してしまいますし(ドリップが出る、といいます)、カニ肉の弾力性が著しく損なわれてしまいます。つまり、まずいカニになってしまいます。急速冷凍と緩慢冷凍の冷凍時間と温度を模式的に示します。

急速冷凍と緩慢冷凍

カニ専門業者が使用している大型の急速冷凍装置で一気にカニを冷凍することで、最大氷結晶生成帯を短時間で通過させることができます。こうして冷凍されたカニは氷の結晶が小さくなるので、カニ肉の細胞がほとんど壊れず、美味しさが維持されます。カニの通販では、冷凍カニが多いので不安を感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、全然心配いりませんよ。



-冷凍カニ